PCTから米国移行(US371出願と呼ぶ)後の不思議な
パイロットプログラム(USPTO)
Federal Register / Vol. 91, No. 68/ Thursday 2026-04-09
Summarized by Tatsuo YABE on 2026-05-19
2026年4月9日付でUSPTO(米国特許庁)はPCTからの国内移行米国出願(371出願と称す)に対するパイロットプログラム(PP)を開始しました。対象となるのは371出願で審査未着手の案件で、USPTOが選出するというものです。出願人側から本PPへの参加を申請できません。USPTOによって本PP対象案件として選出されると、出願人は3つの選択肢の何れかを選択しなければなりません。
①審査に進む(必要に応じて予備補正);②審査を12か月遅らせる;③明示的に放棄
本PPに選出されたとしても出願人に対する費用面、あるいは、実体審査におけるメリットはありません。寧ろ、USPTOのメリットとしては出願人が②、③を選択することで審査のバックログを減らすことに多少の効果があり、さらに言うとPCT段階で権利化が困難と判断される案件は371出願(米国への国内移行)をしないでくれというUSPTOのメッセージです。かつてない不思議なPPです。
注意すべきは、もしこのPPに選出されUSPTOから通知が来た場合に応答をしないと自動的に371出願は放棄となるという点です。
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2026-06903 fed. register notice.pdf
■ 概要(PIER
Pilot Programとは)
正式名称はPCT Informed Examination
Request (PIER) Pilot Program
簡単に言うと、PCT出願の米国移行(371出願)後に、審査に進むかどうかを“明示的に選択させる制度”
■ 本PPの対象となる米国国内移行出願(371出願)
本PPは2026年4月9日から1年間の予定(2027年4月9日まで:但しUSPTOの都合で短縮・延期可能性あり)
◎ 対象:
例:米国国内移行は2025年11月、しかし審査未着手であれば本PPの対象となる。
◎ 対象外:
但し、どの371出願を本PPの対象とするかはUSPTOが決める。出願人が本PPに参加を申請できない(するメリットも無い:筆者)。
■ 従来及び現行(本PPに選出されない場合)では、米国移行(371出願)すれば自動的に審査に進む。しかし、本PPに選出されるとUSPTOはRFI(Requirement for Information)を発行し、出願人が明示的に意思表示しないと審査に進まない。(放置=放棄)
■ 本PPに選出された場合:
RFIを受けた出願人は、以下のいずれかを選択:
① 審査に進む
② 審査を12か月遅らせる
③ 出願を放棄
注意:何も応答しないと自動放棄となる。上記③で明示的に放棄の場合との違いは後に回復措置が可能か否か
■ RFIに対する応答期限(基本2か月、但し6か月延長可能)
■ 実務的な一言まとめ
このPPは一言でいうと、「既に米国に移行した後であっても本気度の低い出願(発明)は明示的に放棄しろ」というUSPTOの新方針と言えよう。価値のある発明にのみ審査官のリソースを使わせてくれと言うメッセージのようだ。ただし、放棄することに対するメリット(少なくとも審査費用の返還)が無い限りこのPPは成功しないのではないだろうか?
以上